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2018.06.25

【恩師が語る日本代表選手♯第3回 長友佑都(ガラタサライSK)】<前編>ボランチからサイドバックへ 大学時代に訪れた転機

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日本代表選手は、どんな転機を経て成長していったのか。その過程を恩師の言葉で振り返る。第3回は長友佑都選手(ガラタサライSK)の大学時代にスポットを当て、当時明治大学の監督として長友選手の指導にあたり、ブルーペナント*を受け取った神川明彦さん(現 明治大学付属明治高等学校・中学校サッカー部 総監督)に話を伺った。

「長友が明治大学のサッカー部に来たのは、入学式が過ぎてから。4月7日ごろでしょうか。ほかの入部希望者に比べると、かなり遅いタイミングだったのは覚えています」

当時の長友選手は、どこにでもいるようなかわいらしいティーンエイジャーで「今のようにギラギラしたイメージはありませんでした」と、神川さんは笑う。

名門・東福岡高校出身ではあったものの、年代別代表はおろか国体にも選ばれたことのなかった長友選手は、指定校推薦で明治大学に入学。スポーツ推薦ではないため、“一般入部希望者”として入部テストを受け、仮入部期間を経てサッカー部に入部した。

「東福岡高校出身の選手だから、入部テストに受からないことはないだろう」と思っていたものの「すぐにこの選手を使おう!と思うほどの何かをもっているわけではなかった」と神川さん。ただ、仮入部中から、長友選手の1対1での強さは印象に残っていたそうだ。

その守備力をかわれて早い時期からトップチームの練習に参加していたが、なかなかデビューの機会は回ってこなかった。同じ1年生の藤田優人選手(サガン鳥栖)や、橋本晃司選手(オレンジカウンティSC)は早々に大学デビューをはたしていただけに、「葛藤もあったと思います」と神川さん。

チャンスは思わぬ形でやってきた。長友選手の高校時代までのポジションはボランチ。本人はボランチでのプレーを希望したが、ある日の練習試合で、神川さんは長友選手に右サイドバックでプレーするように告げる。しかし長友選手は「セカンドチームに行ってもいいから中盤でやらせてほしい」と直訴。その言葉どおり、一度はセカンドチームでプレーしたが、翌週の練習試合でも再びサイドバックとして名前を読み上げられ、長友選手は「これはもう仕方がない」と観念したという。

神川さんは当時のことを「ほとんど覚えていない。以前、本人からその話を聞いたときは、よく覚えているなと思った」と笑いながら、サイドバックにコンバートした理由を「どちらかといえばチーム事情」だと明かした。当時のディフェンス陣は、帯に短し襷に長しで、今ひとつハマらなかった。そこで入部当初から「ディフェンス能力が極めて高かったから」という長友選手をサイドバックで起用すればうまくいくのでは、と思ったそうだ。
「ただ、当時ヘッドコーチだった西ヶ谷(隆之・SC相模原監督)に“長友をサイドバックで使いたい”と相談したときには反対されました。それというのも、当時の長友は好不調の波が激しい選手で、試合当日になってみないと調子がわからない。今のように安定感のある選手ではなかった」からだ。

それでも「練習に手を抜くような選手ではなかったし、いつも一生懸命やっていた」という長友選手を信じてサイドバックに起用。

「長友のプレーは予想していた以上のものでした。まず1対1での守備の強さ。そして、これまで見たことのないような躍動感。ベンチから見ていてもワクワクしました。攻撃にもいくし、守備に戻るのも速い。性格的にも戦えるし、非常に明るい。もちろん、ある程度はやれるだろうとは思ってピッチに送り込んでいるわけですが、ここまでやってくれるとは思っていませんでしたね」

神川さんにとって、もうひとつ予想外だったことがある。それはポジショニングのよさだ。

「もともと中盤の選手だったので、サイドバックにしたときはポジショニングが穴になると思っていました。背後をとられるのは覚悟しないといけないだろう、と。ところがコンバートした当初から、そこは教えなくてもできていた。あのポジショニング感覚は天性のものだと思います。それでも大学時代はまだ粗い部分があったし、スピードでごまかしていた部分もありましたが」

1年次終盤の練習試合では「確信をもって長友はサイドバック、といえる状況になっていました。翌年はシーズン頭からスタメンで使う予定だった」がシーズンオフに椎間板ヘルニアを発症。“サイドバック・長友”のデビューは後期リーグにもちこされることになった。チームにとっては予想外のアクシデントだったが、長友選手個人にとってはこのことがプラスに働いた。

「先ほどもいったように、それまでの長友は調子の波がある選手だったし、地道で実直にサッカーの取り組んでいたかといえば、そうともいえない。けれどあのヘルニアを克服してからは、人間としても大きく変わりましたね」

≫後編に続く

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